小学校英語におけるティーム・ティーチングのあり方
文部科学省によると、平成16年度、全国23,420校の公立小学校のうち、回答のあった22,481校中、何らかの英語活動を実施している学校はその92,1%にも達しています。また、平均1ヶ月に1回程度の英語活動を行い、6割以上がALTを活用したティーム・ティーチングであると報告されています。
今や、ティーム・ティーチングは小学校英語教育の主流になっていますが、実際に教育現場では、どのようなティーム・ティーチングによる指導が求められているのでしょうか?
平成17年度の小学校英語教育学会で発表された鳴門教育大学の兼重昇先生らの「小学校英語教育におけるティーム・ティーチングのあり方:より良いコラボレーションをするために」を御紹介したいと思います。
《望まれる指導形態》 (複数回答 上位7項目)
|
保護者
|
校長
|
学級担任
|
| 小学校教員と英語を母語とする外国の人(ALT)の組み合わせ |
89.5%
|
88.2%
|
85.4%
|
| 小学校教員と英語が得意な地域の日本人の組み合わせ |
17.1%
|
-
|
-
|
| 小学校教員と中学校や高校の英語教員の組み合わせ |
11.1%
|
46.6%
|
37.4%
|
| (学級担任と英語専科の小学校教員のティーム・ティーチング) |
-
|
83.7%
|
76.3%
|
| 学級担任などの小学校教員(学級担任) |
10.2%
|
51.7%
|
38.9%
|
| (英語専科小学校教員) |
-
|
80.9%
|
80.7%
|
| 中学校や高校の英語教員(中・高英語教育) |
5.5%
|
34.8%
|
29.0%
|
(保護者、教員の意見 文部科学省2005中教審外国部会資料より)
《誰が小学校英語を担当するのか?教師の役割と能力》
「英語が使える日本人」の育成の為の行動計画(文部科学省)では実施回数の3分の1程度はネイティヴスピーカーや中学校の英語教員などによる指導が行えること。また、「小学校の英語活動手引き」(文部科学省)では基本的には学級担任を中心にすすめられることが望ましいと述べられています。
では、誰が英語を教えるのでしょうか。下記の
図1は、
クラスの子供に通じたHRT(クラス担任教師)と、英語を喋ることに通じた実物としてのALT(ネイティブ教師)、英語教育に通じたJTE(日本人英語教師)が、同じ役割に見えても、その資質に応じた役割を果たしティームとして互いを補いながら授業をしていくことが最も大切であり、多様な教え方ができる理想の英語授業を行える可能性を持っていることを示しています。
|
図1 小学校英語担当者の役割 (鳴門教育大学・兼重2006)
|
|
ROLES
|
HRT
|
ALT
|
JTE
|
授業づくり
Designer |
子供の実態や他教科等との関連性に基づいて |
英語知識に基づいて |
英語教育に関する知識に基づいて |
モデル
Model |
学習者としてのモデル |
英語や英語文化の実物モデル・暗示的知識 |
英語や英語文化などの明示的知識 |
教授者
Teacher・Instructor |
教室運営、授業運営における指導 |
英語や英語文化の体験的教授 |
英語や英語文化などの体験的教授、授業運営 |
支援者
Supporter |
学習者の実態を考慮した足場かけ |
英語によるコミュニケーションを通じた足場かけ |
日本語や英語をともに使った足場かけ |
授業運営
Organizer |
学習者の実態に基づいた授業運営・経営 |
英語母語話者の視点からの授業運営・構成 |
英語教育的視点からの授業運営・構成 |
評価
Evaluator |
学習者の実態に基づいた評価 |
英語という観点からの評価 |
英語、英語教育的観点からの評価 |
|
《実践者からの提言》
1、授業内での協働作業
・ 活動と活動の変わり目に子どもが出すサイン(発話の姿、表情、活動の様子など)をキャッチして、それを的確にALTと伝え合えあうことができる。
・ 忘れたり、間違えることに対して粘り強くかつ寛容に、児童が英語活動へ積極的に参加できるよう働きかける
・ 英語で新しいことを学ぶ楽しさを教師自身が感じることにより学習者としてのモデルの役割を果たす
・ 常に互いを尊重して、相手の長所を引き出すよう心がける。
2、ALTの気持ち〜こんな先生を〜
・ 授業前後でのコミュニケーションが十分取れる教師
・ 授業に積極的に参加し、柔軟な教師
・ 翻訳をしすぎない教師
・ 極端なカタカナ発音ではなく、ALTの発音を真似ようとする教師
・ 授業活動の目的・ねらいを理解し、児童の活動を最大限支援する教師
・ 英語授業外でも英語学習に協力的である教師
《最後に》
小学校英語担当者に関して、教師の特性を整理し、実践者からの意見もまとめましたが、もちろん典型的な教師の役割はあり得ます。しかし、むしろ「個々の教師」の特徴・特性を今一度振り返り認識することが大切です。
そして、場合によっては、柔軟に相互相乗り的な役割を果たす。そのためにもコミュニケーションは大切になってきます。授業内外でも関わりを密にして、教師同士でお互いに尊重の気持ちを持って、互いを知る。良いコラボレーションの為には、どの教師も、自信、柔軟性、尊敬・敬意、コミュニケーションが必須であると思います。