英語教育21

企業インタビュー

英語を、十分な論理的思考により使いこなすことができる世界に通用する人財を育てる

中外製薬株式会社 人財開発部・人事部 大野 宏部長 プロフィール
1976年スイス医薬品多国籍企業ロシュ社の日本法人に入社。営業支店長を歴任
1993年スイス本社のCorporate Human Resources Departmentにて、グローバル人事戦略に従事
1996年日本法人の人財開発本部にて、全社の組織活性化、人材活性化などのプロジェクトを推進
2002年人財開発部・人事部部長として全社人財開発体系を構築。現在、全社人財開発と組織文化の醸成に問題意識を持ち積極的な活動を続ける。

中外製薬の新入社員英語研修の特徴は何でしょうか?

この研修は一般的な英会話だけではなく、学生から社会人にシフトするために、会社のミッションステートメントをより深く考える場でもあります

弊社は2002年10月にスイスのロシュグループと提携いたしました。その流れの中で当然、将来のグローバル化という視点を見据えますと、企業の国際競争の中にあってリーダーシップと異文化適応・理解力を持つ人財が求められています。

たとえば、入社見込みの学生に対しては10月の内定式にTOIECテストを実施し、さらに新入社員研修時に成果を発表するというゴールイメージをはっきりさせた上で、入社式までの半年間はEラーニングに取り組んでいただいています。

新入社員研修では、今年も445名を対象に講師35名とトレーナー、スタッフが参加し2日間の英語研修を実施しました。この研修は一般的な英会話だけでなく、学生から社会人にシフトするために、会社のミッションステートメントをより深く考える場でもあります。また、英語で行なうグループプレゼンテーションは全員参画で必ず発言をしなければなりません。かなりのプレッシャーがかかります。しかし大変だった分、参加者の満足感は高いようです。

またTOIECの点数が高くても「話すこと」が出来ないという問題がありますが、弊社では話して書く、あるいは声に出し耳で聞くというような学習法により「発話力」を高める効果のある研修プログラムを実施しています。

今回の新人研修でもいくつかの仕掛けをしました。出席者が評価用の札を持ち、各グループのプレゼンテーション終了後に判定をすることにより「聞く」ことに集中させ、またアトランダムに直接感想を述べさせることにより「話す」ということに挑戦する。2つの側面から実施された研修です。学習法の質として、聞いて話すという流れは「発話」に導く上で非常に有効であると思います。

小学校の英語必修化について賛否両論がありますが・・・

今という瞬間の中でどうやって日本人として相手にメッセージを伝えるか、そのツールとして英語を生かして欲しいと思います。

小学校英語活動の必修化についてはいろいろなご意見があると思いますが、私は、学習方法の問題ではないかと感じています。これまで学校の英語教育は、まずは単語を覚える。文法も完璧な正解が求められるという教育であると思います。つまり、意思表示をし、何かを伝えるというのではなく「正しい英語を話す」ということが目的になっているように感じます。

しかし、英語というのはツールであると思います。TOIECの点数は高くても全くしゃべれなければ言葉としては何の機能もありません。読み・書きは出来るかもしれませんが、今という瞬間の中でどうやって日本人として相手にメッセージを伝えるか、そのツールとして英語を生かして欲しいと思います。また、発話と量についても、どのぐらいの時間を費やすとどの程度成果が出るのかというゴールも見せる必要もあるかもしれません。 ヨーロッパでも英語教育は小学生から行われており成人の多くが英語を話せます。日本語は確かに言語的にハンディが大きいですが、英語をコミュニケーションの道具として身に付ける必要はあります。

また、日本では1+1は2と教え、ヨーロッパでは2を出すためのバックグランドを考えさせる教育が行われます。小さいころは「なぜ?」とよく聞いてくる子供たちが、答えを教える教育により、いつの間か正しい答えを見つけるだけになってしまっている気がします。「なぜ?」には選択肢がいっぱいあってもいいと思います。早くから論理的な思考を「Why?」という発想の中から組み立て、自分が何を話したいのか簡潔に論理的にしっかり話すことが出来るように導く教育を期待します。もちろん親としても、こどもの「なぜ?」に対しては一緒に考えて、あるときには投げ返して子供が自分なりに答えを捜せるように日々の中でコミュニケーションを楽しむことも重要です。小学校の英語教育導入は教育の質の問題をも提起しているように感じています。

中外製薬の人財開発の狙いは何でしょうか?

企業の中でも必要とされているのも「Why?」という発想です。
論理的思考により本質を見極めて、それにあわせたソリューションを見つけていくというパターンをしっかり身に付けていくことが企業では求められています。

中外にはいわゆる優秀な学生たちがたくさん入社しますが、優秀な子供たちというのは新しいものに挑戦できる自分なりの効果的な学習方法を早い時期に身に付けています。そして、その学習するエンジンを使ってチャレンジするから習熟度も早く、それを使い込むのもうまい。それは成果検証でその能力の違いが分かります。

たとえば研修などで「寝ない」ように努力しているという笑い話がありますが、そのような人たちは「聞いて」いないのですから、当然ながらその場でのアウトプットはよくありません。2番目はよく聞いて、講師がここはというところや語調が強くなっているところを「書き出して」います。しかしその上の第3の人々は単に書き留めるだけではなく、それを「自分の言葉に置き換え」ています。最後に少ないですが4番目、彼らは自分の言葉にして、さらに「画像化」している、つまり、ストラクチャー(構造)で覚え時系列で説明ができる人たちがいます。企業の中でも必要とされているのも「Why?」という発想です。論理的思考により本質を見極めて、それにあわせたソリューションを見つけていくというパターンをしっかり身に付けていくことが企業では求められています。

ロジカルシンキングの訓練は、振り返りをすることによって自分の中で記憶を読み起こして、何がキーワードかを見つけるなど訓練化されることにより、強制的なものではなく、人よりこの時間の中で学んだことが多いという満足感に変わります。また、自分が学んだことと他の人が学んだことをお互いに話し、聞きあうことにより、多様性や違う視点に気がつき、それを大きくしていくことができます。弊社では全社員にそれが求められています。問題意識を持ち探求し、そこで何かに落ち合うときに意識的に五感を使って感じたことを表現することにより、また新たな気づきが生まれ、さらに学習するとまた探りたい好奇心が生まれる。そういう学習のサイクルをまわしていくことが重要であると思います。 英語を、十分な論理的思考により使いこなすことができる世界に通用する人財を育てるのが中外の人財開発です。

バックナンバー

  1. 慶応大学SFC プロジェクト発信型」英語プログラム(鈴木佑治教授)
    与えられた問題とその解決法を覚えるのではなく、学生が自分で問題を見つけその解決を考える


Copyright (c) 2006, INTERAC Co., Ltd. All Rights Reserved.